マイノリティ・センス

自閉スペクトラム症の個人的な表現・分析(聴覚過敏多め)

スイレン

2011-01-01から1年間の記事一覧

「Diversity 発達障害」感想

11月23日、24日のNHK教育テレビ福祉ネットワーク「Diversity 発達障害」を見た。 いくつかの点で違和感を覚え、妙に気持ち悪かった。 ①典型的に言われること(? 私がよく耳にすること)ばかりで、「もういいよ…そのお説は」とうんざりしてしまったのだが、…

文字が読めない孤独(2)

文字が読めないことを、支援者に相談してみた。 その人は、私が広げたノートを指差しながら言った――― 「あなたの書いた文字は、読めるのですか?」 そのノートには、相談で話そうとまとめた内容が、鉛筆や色とりどりのペンで記した言葉で、ギッシリ埋め尽く…

文字が読めない孤独(1)

WEB上の文章、特に長文が読めない。 気味の悪い疎外感。 WEB上の文字はディスプレイの上にフワーッと浮いている。 私の意識は、その文字たちを掴めない。 紙の上のインクならそこに「在る」のに、WEB上の文字は「定着していない」。 目で追っていると、だん…

広汎性発達障害の診断と、その意義について(3)

広汎性発達障害の診断と、その意義について(2)再考。 診断は医者だけでは成り立ちにくいのでは、という考えを再度述べます。 <自分>は、私という内部から見る自分と、外部の社会・他者=医者(社会に委託された他者のような存在)から見る自分で成り立…

広汎性発達障害の診断と、その意義について(2)

以上のように、いろんな理由から、私にとって必要な「診断」ですが、さらに突っ込んで、診断の意義を考えてみます。 診断は、主観的なものでも客観的なものでもなく、自分と、自分が選んだ医者の2つの合意・納得・関係性によって成り立つのではないかという…

過酷だった以前の職場(7) 人間の可能性

現在、雇用する側ばかりでなく、障害者職業センター等の支援機関に話を聞くことが多いが、多くの関係者が私を「枠にはめて安定させる」ことばかり考えているのではないか、と思う。 「フォローは手間だ。面倒だ。必要性を感じない。」 それは、雇用する側の…

過酷だった以前の職場(6) 比類なき才能の持ち主

私の困難を理解し、導いてくれた、一人の優れた先輩(メンター)がいた。 その人は私に、この「サバイバル環境」において、持っている能力を発揮し、「障害」が原因で制限されている能力を、飛躍的に伸ばす術を教えてくれた。 その人は、交流分析をしている…

過酷だった以前の職場(5) 実験室のマウス

そこは、逃げられない実験室だった。 実験用のマウスが電極パッドをつけられて、ゲージに閉じこめられている。そんなイメージだった。 または、鎖に繋がれた電気椅子の上。前触れもなく流れてくる、激しい電流。何度も何度も流れてくる。 けれども、ここから…

ハッキリとした、見てわかるサインがほしい

職業安定所の担当職員と、障害者職業センターのカウンセラーと、これからの進路について「ケース会議」を行いました。 そこで、思ったことがありました。 訓練によって、空気を読むことや状況を判断することは、ある程度できるようになったと思うのですが、…

過酷だった以前の職場(3) 転覆寸前の船

何度も訪れるパニック発作と過呼吸。 あるときは泣き、頭を打ちつけ、救護室に運ばれた。 派手な不適応だった。サバイバルだった。 まわりの人に申し訳ないことをしたし、同時に、自分も不憫だった。 思い出すのがつらく、今も深い悲しみが溢れてくる。 辞め…

「アスペ」「自閉」「ハッタツ」……略語の負の効用

時々抵抗を感じます。 上司に「アスペ」と呼ばれたとき。 ネット上で「アスペル」という略称を目にしたとき。 なぜ抵抗を感じるのか。 それは、この言葉を口にする相手が 、「アスペルガー症候群とこの特徴を持っている当人をよく知りもしないで、“アスペル…

意味の輪っかにつながりたい

私には「意味」と「理解」が欠けている。 だから、欠けた手がかりを強く求めた。 それが、世界と自分をつなぐ通路のように思えた。 自分の外にある世界や人が話している言葉の意味を理解したい。 その気持ちが人一倍強かった。 だから、日本人でありながら日…

発達障害者の家族をお持ちの方へ

以下の文章は、以前、発達障害の家族会に参加した際、障害をお持ちのお子さんを持つご家族に話した内容です。 「家族家族で抱える問題は違う。だから、個々の家庭の状況をよほど仔細に把握しないと、私には何も言えない」と感じています。 それでも、自閉症…

過酷だった以前の職場(2) 世界の分裂・解体・断片化

目に映る光景は、しばしば、バラバラに分解した。 色と形の固まりと意味のないパーツが、あるいは人間の姿をとり、あるいはモノの姿をとって、規則性なく、動き回った。 全ての音を拾う脳に、音は容赦なかった。 足音や声は、ときに身体に突き刺さるように、…

過酷だった以前の職場(1) サバイバル環境

以前の職場についての回想。 それは、私にとって過酷な、まさに「サバイバル環境」そのものだった。 ひたすら足りないエンジンをふかし、苦手なことを「底上げ」し続け、自尊心は低下のループをたどった。 強烈なのは、感覚の混乱だった。 好きな業種だった…

自己表現したいのにできない人の隣で

自閉症のひとが、自己表現できない苦しさはよくわかる。 表現を試みても、まったく意図しないコトバや態度が出てきてしまい、まわりを誤解させてしまう悔しさも、違和感も、よくわかる。 そのことに、自分で気づいていないひともいる。 自分が自己表現できな…

聞こえすぎ

事務作業をしていて、机の向かいに座った人の作業音が気になって集中できなかった。 カタログを置くゴン!という音。 計算機をたたくバシバシという音。 筆記具を置くガン!バン!という音。 一直線に心臓を打たれ刺さるような、激しい響き方があった。 耳栓…

頭でっかち身体不器用型の人間を指導する方法(私限定?)

私は典型的な頭でっかちで、身体よりも頭が働く比重が圧倒的に大きい。 また、身体を上手く動かすことができず、不器用だ。 誰かに何かをアドバイスされても、既に頭に入っているが、または理屈では理解できるが、「身体がうまく動かない、できない」場合が…

発達障害にかかわる支援機関のあり方について思うこと

発達障害者支援センターなどの支援機関を利用して、不安に思ったことがあります。 それは、発達障害者を「支援ルートに乗せていく」、という印象です。 まず、本人が障害を「認める」(=障害受容)。 次に、診断を受ける。 次に、手帳を取得する。 次に、障…

当事者が声をあげること

森口奈緒美さんの文章はどれも優れている。 「自閉症納言のホームページ」の目次にある 『当事者が発言活動をしていると「障害を売り物にしている」という批判が出てくるが、 障害を隠して社会参加しようとすれば健常者の詮索と質問の嵐になるので、 彼らの…

テレビを面白いと思える人がうらやましい。

職場では、食事をする部屋にテレビが設置されることがあります。 これを見ながら社員が一緒に昼食をとります。 人と人とのコミュニケーションを円滑にする、人を和ませるための道具が、 私にとっては、ストレスの源になります。 第一に、音が神経に響きます…

「流れ」をつかめず、体が「止まる」

呼吸、運動、瞑想は、私に最も足りないと感じていながら、苦手な行為です。 ○呼吸 昔、カウンセラーなどに何度もすすめられました。 が、息を吸ったり吐いたりしている間に、いつの間にか「止まって」(忘れて?)しまい、もとの浅い呼吸に戻ってしまいます…

全体像よりも個々の言葉や単語を拾ってしまう

以下、青字は「感情をみつめて(6)」にコメントを下さった方の引用です。 もし不都合があれば、コメント下さい。すぐ削除いたします。 「なんとなくわかるとか、勘で乗りきったとか、やわらかくうまくいく人」の典型として、私の身近に、まさにそういう人…

感覚がむきだしで痛い

以下、青字は「感情をみつめて(6)」にコメントを下さった方の引用です。 もし不都合があれば、コメントください。すぐ削除いたします。 「アスペルガーは極端な男性脳で、識別が行き過ぎます。 神経網のみで世界を認知するので、モチのクッションがなく、…

辛さをわかってくれる相談員がよい。

障害者職業センターの相談員が変わった。 数回相談を受けたが、以下の点で、大きな不安を感じている。 うまくいくかどうかわからないが、相談員を変えてもらいたいと交渉するつもりだ。 ①事務的で、旧態依然とした感じがすること ②フィードバックや共感が少…

相談者へのわがまま

まな板の上の魚をさばく手つきで あなたは器用に問題を分析して 誤りのない正しい道を指し示した その通りだとわかっているから 大人しく引き下がって対策を立てよう でも忘れないでくださいね 流れた涙のあることを 地図に引かれた線路のうえに 走る列車の…

感情をみつめて(6) 秩序の崩壊

――感情の大洪水は「こだわりの石ころ」を掴むために起こる―― 麻痺した感覚の中でせきとめられて、知らない間に巨大な「ダム湖」のように膨張した感情が、なにかのきっかけで大洪水を起こすというイメージを見たとき、私の中に、急速に世界の秩序が戻るのを感…

感情をみつめて(5) パニックの正体

視覚的なイメージが写真のように頭の印画紙に焼き付く。 過去の状況・映像を細部まで覚えていて、たった今目の前で起きているかのようにありありと思い出す、フラッシュバックと呼ばれる現象。 この過剰な想起が起こる瞬間、 生々しくリアリティに満ちた感情…

感情をみつめて(4) 涙がもたらす自由

「感情をみつめて(2)」は、まさに「閉」の状態で書いていました。 詩は、かつて書いたものを引っ張り出してきたものです。 「閉」の状態で、詩的な文章は書けません。 私にとって一番楽な状態は、「感情が流れている」ことです。 それは、緑萌える森の傾…

空気というGHOST

私は、「空気を読む」のが上手くありません。 だから、見えないそれがGHOSTのようで怖いです。 そこにどんなメッセージが存在しているのか、ハッキリ見えないと、不安なのです。 人に「今(の状況は)どんな感じなのか」聞くのは、それが理由です。 ハッキリ…