過酷だった以前の職場(2) 世界の分裂・解体・断片化
目に映る光景は、しばしば、バラバラに分解した。
色と形の固まりと意味のないパーツが、あるいは人間の姿をとり、あるいはモノの姿をとって、規則性なく、動き回った。
全ての音を拾う脳に、音は容赦なかった。
足音や声は、ときに身体に突き刺さるように、ドスドス、ズカズカ、バシバシ、体当たりを食らわせてきた。
話し言葉の理解はもっとひどく、声が音にしか聞こえないときがしばしばあった。
話し言葉は、人と人の頭上を高速で行きかい、荒れ狂い動きまわる、実体をもたない暗号のようだった。
言葉のやりとりで成り立つコミュニケーションから、私は「意味」を剥奪され、立ちすくんだ。
ちなみに・・・ さらに前の職場では、これほど変化だらけの環境ではなかったので、顕著な世界の分裂・解体・断片化は発生しなかったが、対人関係も含めたストレスはやはり大きく、深い鬱状態に陥った。
上に述べた症状も含め、職場においても、家においても、 深刻な自閉症的症状が、頻繁に出てきたからだ。