マイノリティ・センス

自閉スペクトラム症の個人的な表現・分析(聴覚過敏多め)

スイレン

2019-01-01から1年間の記事一覧

誰に向けて発信するの? 一対【多】は見えない

誰に向けて発信しているかわからない ある日、ハローワーク比佐間さんをつかまえて、グループ展における社会の反応「?」や無言の意味を確認しようとした。比佐間さんは、こう教えてくれた。 「天寧(あまね)さんは、自分のアピールが人にどう受け止められる…

人間への違和感 3人以上の集団で共感しづらい

一対一では大丈夫ですが、特に3人以上の集団において、 みんなと同じように感じない 肯定的感情を共有できない ということに、ズーッと、悩んできました。 みんな笑っているけど、 私だけわからない or 苦痛とか・・・ みんな「いいなあ」というけど、 私だ…

楽しいってなんだ? 変化を楽しむ者と常同環境を突き抜ける者

「楽しい」は今生まれ、消える 楽しいことがあった日、忘れないよう小説に書いた。 小説を読み返すと思い出して、心が温まるが、視覚的な手がかりがない状態だと、記憶がぼやけていく。 私の場合、目に見える手がかりがなければ、楽しいことであっても、忘れ…

聴覚過敏にホワイトノイズサウンドマシンは効くか?

ついに、聴覚過敏者にとって憧れのグッズを購入しました。 その名も、ホワイトノイズサウンドマシン。 Dreamegg 【2019年最新版・バッテリー内蔵】 ホワイトノイズ マシン 快眠 24種癒しサウンド USB充電 イヤホン対応 無段階音量調節可 赤ちゃん 集中力向上…

ヒキコモルートアドベンチャー 6(終) 赤い俊足ついに現る

ようやく巻き上げた先は、赤い俊足の家の近所であった。彼がいつも通り三時一〇分に家を出るのなら、ここらではち合う可能性が高い。しかし、気配がないところをみると、やはり先ほど堤防で出くわした赤い影は本物か? ここにとどまっていては危険だ。僕はく…

ヒキコモルートアドベンチャー 5 ユスリカ蚊柱の死闘

すると今度は、ユスリカの大群が待ち構えていた。 春のユスリカときたら、一匹一匹は三ミリほどの昆虫でありながら、何百何千と隙なく白煙のごとき蚊柱を巻き上げる壮観は、じつに威圧的でおぞましい。コイツらは、そのか細く透明な図体で、一体何を食して生…

ヒキコモルートアドベンチャー 4 異種間戦争

その時だった。 「うおっ、なんだこれ!?」 細長くてクネクネした灰色の何かが光っていた。体調五十センチ以上あろうかというガタイの立派な蛇が、頭だけを草むらに突っ込んで、胴体の三分の二を堤防道に晒していた。 僕は冷や汗をかいて硬直したまま片膝をつ…

 多人数で集まってワイワイ食事をする難しさ

みんなで集まってワイワイ食事をする。鉄板プレートのランチをつついて。 ふつうの人にはなんでもないその光景が、私には、サーカスで曲芸をしているような難しさを感じさせました。 苦手な雑談。共感できない話題。時々理解できない話しことば。 自分を操り…

ドナ・ウィリアムズ『自閉症という体験』との対話 1 死者だからコミュニケーションできる

20年前、『自閉症だったわたしへ』という本 ↓ 自閉症だったわたしへ (新潮文庫) 作者: ドナウィリアムズ,Donna Williams,河野万里子 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 2000/06/28 メディア: 文庫 購入: 8人 クリック: 153回 この商品を含むブログ (47件) を…

理解――存在の血液

「あなたのことは理解できない」 「理解することはできませんからね?」 「よくわからない」 「……………?」 愛があればいい? それ以前の問題 雨が大地に沁み渡るように 思念の通路を伝って 心の始原に至る 私とあなたを跨ぐ 水路橋に滴る 存在の血液! 理解を…

はてなのハテナ、はてなよサラバ(多分)

はてなのハテナ fc2ブログのような拍手もないし、ホームに戻るの表示もないし、カスタマイズのやりすぎでヘロヘロ(見出しの下の点線を、デフォルトのリボンの主張に見合うさりげなさで、しかもサイドバーの点線の調子に合わせ、調和のとれた世界観を演出す…

中村文則さんがバージョンアップしたらしい

現在、執筆中の聴覚過敏体験記『踏まないで!』の添削をしてくださっているクマさん。↓↓↓で登場。 『踏まないで!』第11章 ブラックホールの秘密 作家中村文則さんの大ファンです。 ワタクシも気にかけてはおり、新聞で関係記事を見つけると、切り抜きをつく…

ヒキコモルートアドベンチャー 3 川辺のカモフラージュ

【前回までのあらすじ】 僕は散歩の途中、赤いランニングシャツを着た男が近づいてくるのを見た。 そいつは、僕にやたらかまってくる近所のニガテな老人だった。 僕はとっさに金木犀の茂みに身を隠し、堤防に出た。 赤い俊足が散歩に出る時間は三時一〇分。…

ブログを10日続けてすでに燃え尽き感が…

……まだ10日? ……えっ? まだ10日? 気分的には1ヵ月ぐらい続けて燃え尽きた感じです。 ホームページ(ブログ)を6つ持っていると息切れが……! 息切れするほど運営してないですが。 アクセス0の日もけっこうあるのに(とくに詩サイト)、自分はいったいな…

【作品一覧・紹介】ブログ内作品(手記/小論文/小説)へのリンク ※カテゴリーにも

作品一覧・紹介 ※サイドバーのカテゴリーからも見ることができます。 「踏まないで!」 ジャンル:手記 読みやすさ:★★ わかりやすさ★★★ 聴覚過敏★★★★★ リアリズム★★★★★ 現在執筆中の聴覚過敏手記です。 A型事業所で聴覚過敏が理解されず、結果、重度の聴覚…

ヒキコモルートアドベンチャー 2 赤い俊足

その男は散歩の途上で毎日すれ違う、背丈の低い近所の老人である。いつも赤や青の派手な原色のランニングシャツを着て早足で歩くか、走っている。赤いシャツを着用している確率が高いので「赤シャツ」と命名したいところだが、某名作のネーミング盗用になっ…

ヒキコモルートアドベンチャー 1 これが忍術…?

僕はいい年をしたひきこもりだ。ひきこもったいきさつは、面倒だから言いたくない。どうしてもそうせずにはやっていられない、やむにやまれぬ差し迫った絶対的必要があるからそうしているだけのことだ。 僕はかねがねひきこもりの冒険譚が読みたいと思ってい…

開通―コミュニケーションの封鎖が解かれるまで― 5まとめ 〈アンテナ〉と〈チューニング〉

私のinput回路は、チューナー(受信機で同調操作を行う部分)を微調整するだけでなく、情報の発信源と媒介者に助けられることで、開通しやすくなる。 私の思考・感覚には、〈アンテナ〉の立ちやすい位置や角度、情報を受けとる特定の周波数がある。 ラジオの…

辛苦を負う者

もし人間がなんらかの病、――ことに人格や知能の病のために、またはらいの神経痛のような、いてもたってもたまらないような苦痛のために、ふつうの精神機能をうばわれ、単なる「あえぐ生命の一単位」になってしまったとしたらどうであろうか。そういうひとは…

ブログとホームページ制作歴

20年にわたるブログとホームページ制作歴 初めてつくったホームページはゲーム(ドラゴンクエスト)のファンサイトでした。 ドラゴンクエスト7 ……こんなイラストをいっぱい描いていました。 それから、クラシック音楽の批評・感想サイトを。ラフマニノフや…

開通―コミュニケーションの封鎖が解かれるまで― 4 文学会でチャンネル開通

それから間もなくして、不思議な出来事が起きた。 私はある文学会で、詩や体験記などの文章を発表していた。 ある日、横光利一の『花園の思想』を朗読した。それは、テキストの文字を目で追うと、映像が鮮やかに浮かび上がる迫真の描写だった。 保険証の一件…

開通―コミュニケーションの封鎖が解かれるまで― 3 少しずつ通じ始めた

それから数日後、近所の歯科クリニックに出かけた。 歯科衛生士から歯の磨き方を教わりながら、ことばを逐一ノートに書きとった。衛生士の舌は素早く回転して、台本がないのによくこんなにしゃべれるなと感心した。母国語であっても、ノート筆記しながらでな…

開通―コミュニケーションの封鎖が解かれるまで― 2 input(入力現象)を阻害している要因

何かがinput(入力現象)を阻害している。 inputが滞るのは、ふだんから絵や文章で表現している自分の内面世界に、独特のoutput回路が回っているのかもしれない。 このoutput回線は、心の地底から渦巻き、上昇し、ある地点を出口にして放出されている。input…

開通―コミュニケーションの封鎖が解かれるまで― 1 話しことばの意味が消えた

「○月×日に診察した分が、資格取得日に入っているかどうか……」 病院の事務員が難しい顔で呟いた。 ○月×日の三週間前、ある事情によって保険証の資格を喪失した。継続して使えるようにしなければならないが、今は手元にない。病院で診察を受けた後、その事情…

〈定位〉から考える聴覚過敏13 まとめ 能動的構え

ほかの聴覚過敏の原理に当てはまるかどうかわかりませんが、私の聴覚過敏においては、まず定常位置の転覆を驚愕する心があり、みずからの定常位置へ同化/異化する選別作業としての摩擦と刺激が多くなっている様子をみてきました。その選択の前段階としての…

〈定位〉から考える聴覚過敏12 刺激に意味を求めるか否か

「音の意味」がわからないとはどういうことでしょうか。 意味とは、価値・重要性・意義という意味を除けば、「記号(特に言葉)の表す内容」「ある表現や行為によって示される内容、特にそこに含み隠されている内容」(明鏡国語事典)です。つまり、表現や行…

〈定位〉から考える聴覚過敏11 火に油を注ぐもの(2) 音の意味

「気分」とともに「音の意味」もまた聴覚を過敏にさせる要因になります。「音の意味」がわからなければ「不安な気分」になるし、「不安な気分」が高じれば「音の意味」がますます聞きとれなくなるという悪循環が生じます。こうした不安が音の聞こえ方を変化さ…

〈定位〉から考える聴覚過敏10 火に油を注ぐもの(1) 不安

聴覚を過敏にさせる3つの要素「調整」「気分」「音の意味」のうち、「気分」「音の意味」といった心理的な問題が聞こえ方に与える影響ははかりしれず大きいものがあり、無視することはできません。 選択的注意ができないというだけで、「火に油を注ぐもの」…

〈定位〉から考える聴覚過敏9 こだわる固体の固着とこだわらない気体の流動

なぜこれほど刺激に反応しなければならないのでしょうか。 感覚過敏のイメージをはっきりさせるために、逆に感覚の鈍い人を描出してみます。自分の生命の流れがほかの生命の流れと同期(シンクロ)する振幅が広い。変化についていける。流動している。臨機応変…

〈定位〉から考える聴覚過敏8 選択的に注意するものは何か

自閉症スペクトラムの人は、ほんとうに音を選択して拾っていない(拾わされている)のでしょうか。何を基準にして、何を重要な手がかりにして、音を選択しているのでしょうか。ほかの自閉症スペクトラムの人の聴覚過敏については詳しく把握していないので、…