マイノリティ・センス

自閉スペクトラム症の個人的な表現・分析(聴覚過敏多め)

スイレン

感情をみつめて(6) 秩序の崩壊

――感情の大洪水は「こだわりの石ころ」を掴むために起こる―― 

 
麻痺した感覚の中でせきとめられて、知らない間に巨大な「ダム湖」のように膨張した感情が、なにかのきっかけで大洪水を起こすというイメージを見たとき、私の中に、急速に世界の秩序が戻るのを感じました。
 
こだわりは、呪縛。
呪縛は、視点の固定。
視点の固定は、秩序の崩壊。
秩序の崩壊は、予期不安。
予期不安は、恐怖感。
 
感情がコントロールを失うとき、ここに始点と終点につながる2つの反応がありました。
始点は、「こだわり」でした。
何かにこだわっているけれども、それを上手く引っ張り出せない、自己表現できないフラストレーション反応。「今これこれこういうことが苦しい」と自己表現できれば、そもそもコントロール不能の状態には陥りません。
 
そして終点は、世界の「秩序の崩壊」です。
世界には、モノとモノの関係、ヒトとヒトとの関係に支えられた、網の目のような構造があります。 これが、秩序です。
誰もが、個人が生きる網の目を持っています。
私にも、他の人が持っているものとは違うけれど、独特の世界の秩序が存在します。
これが、ばらばらに崩壊することがあるのです。
 
例えば、モノから名前が消えるという現象です。
目の前に「消しゴム」という物体があったとすると、「消しゴム」という名前が消え失せ、その白くて弾力のある固まりだけが目の前に現れます。
「こだわりの石ころ」の呪縛に捉えられると、世界は、秩序を失っていきます。
モノから名前が消える、ヒトとヒト、モノとモノの相互関係がなくなり個々に孤立する。
世界がばらばらに分解される。
そのとき、個々の物体は、急激にかつ無軌道に私の前にに迫りきて、その一つ一つは、途方もなく大きく目に映ります。
この、世界がばらばらに崩壊する感覚が、恐怖感を呼び起こします。
 
図にすると、こんな感じです。
 
  秩序