〈自閉〉と〈社会〉のはざまで(6) 小学時代5 集団意識ゼロ
◆疎い人間関係
よくからかわれ、いじめられていた。
男の子に背中で担がれて泣き喚いた。五線譜に作曲したノートを奪われた。ペンを盗られた。
しかし当時は、相手が自分に何をしているのか、わからなかった。意味不明な災難に遭ったという感じだけがあった。
人間関係に疎かった。
小学校高学年になり、人間関係は複雑になった。
クラスの女の子は「グループ」をつくり、○○ちゃんは△△ちゃんのグループに入るだの入らないだのと、騒いでいた。
私の「入っていた」(つもりはないが)グループが、けんかで二つに分裂した時、仲の良かった女の子は、私にこう迫った。
「煌子は私のグループに入るよね? それとも○○ちゃんのグループに入る? どっちか選んでよ」
「別にどっちでも……」
なぜそんなことで、血相変えて騒ぐのか、わからなかった。
グループなんてどうでもいいではないか。しょうもない。面倒臭い。眼中にない。どこかの集団に属するという意識が、私には、まったくなかった。
多くのクラスメイトがいじめていた子や、嫌っていた子とは、必ず仲良くなった。
みんながなぜその子をいじめるのか、わからなかった。