マイノリティ・センス

自閉スペクトラム症の個人的な表現・分析(聴覚過敏多め)

スイレン

感情をみつめて(5) パニックの正体

視覚的なイメージが写真のように頭の印画紙に焼き付く。

過去の状況・映像を細部まで覚えていて、たった今目の前で起きているかのようにありありと思い出す、フラッシュバックと呼ばれる現象。
この過剰な想起が起こる瞬間、 生々しくリアリティに満ちた感情が伴います。
「感情のダム湖」は、あっけなく崩壊します。
 
何を思い出してどういう気持ちになったのか、分析に分析を重ねているうち、ある法則が見えてきました。
私の思考が、過去と未来にかかわるイメージに分類されることに気づいたのです。
そして過去よりも未来のイメージに、問題の源泉があると。
 
過去のああした場面やこうした場面が、怖かった。
そのような「過去の辛い場面の想起」が引き金には違いありません。
過去の記憶こそが、フラッシュバックの正体だと思っていました。
 
ところが私の思考には、当然ながら、未来の内容も含まれていました。
 
また同じ状況に陥ったらどうしよう?
その状況が、あんな状況やこんな状況を引き起こすのではないか?
私はこうなって、ああなってしまうのではないか?
 
そのイメージは、最悪の未来を予感するものでした。
NGワードやNGテーマは、まず、「過去の辛い場面の想起」を一瞬にして生々しく引き起こすトリガーとなり、次に、想起は、「未来への恐怖=予期不安」をもたらしました。
この最後のプロセスに至ったとき、「感情のダム湖」は崩壊し、視点は固定され、問題の一つ一つは怪物のように大きく見え、パニックを引き起こしました。
問題は過去の記憶だけでなく、未来に対するイメージにもあること。
「過去の不快な場面の想起」が「未来への恐怖=予期不安」を引き起こすこと。
そして、未来への予期不安こそが、パニックの正体であること。
私が制御不能の感情に襲われたときは、なんらかの「未来への予期不安」に 怯えていると考えた方がよさそうだと思いました。