〈自閉〉と〈社会〉のはざまで(3) 小学時代2 危険な遊び
◆いたずらと危険な遊び
いたずらばかりしていた。
「慈善事業」と称し、ティッシュでつくった「こより」の束を、住んでいたマンションの全ポストに入れた。
マンションのコンクリートにマジックで落書きして、消せなくなり、親から怒られた。
人の家から桃を盗み、うじ虫と蝿が湧くまで、机の引き出しに隠した。
鉄棒で逆(さか)上がりして、口に入ったカメムシを噛んだので、知らない人の家に、インターホンを鳴らして上がり込み、口を濯いだ。
カエルを口に入れて、遊んだ。
木の枝によじ登り、町に向けて、リコーダーを吹き鳴らした。
自宅の屋根を這った。
二階のベランダから、柱を伝って、外へ抜け出した。
小学校の授業を真面目に聞かず、机の上を走り回った。
教室を抜け出し、体育準備室の筒状に巻いてあるマットや、跳び箱の中に隠れた。
危険な遊びばかりして、けがが絶えなかった。
アスファルトで宙返りした。
たんすの引き出しで「階段」をつくって登り、倒れてきたたんすの下敷きになった。
落下したガラスが腕に刺さった。
風呂場のガラス戸を割った。
石壁や崖を見ると、手当たり次第よじ登った。
崖から滑り落ち、ふもとに張り巡らされた有刺鉄線に、十センチ臑を裂かれた。
高い塀に登り、足を滑らせて、地下駐車場に落下した。頭蓋骨がむきだしになるほど(ありえないかもしれないが、白い骨に触ったように記憶している)おでこが割れ、救急車で運ばれた。
ブランコから放り出されて柵に頭をぶつけ、気絶した。