〈自閉〉と〈社会〉のはざまで(5) 小学時代4 人目がわからない
◆人目がわからない
家でも外でも、狂ったように遊び回るのに、人が来るのを待っているだけで、自分から、友達の輪に入ろうとしなかった。
保育園の先生によると、自分の殻に閉じこもって、外の世界に興味を示さなかったという。
母によると、「暗い」というのではなく、自分にひきこもっているところがあったという。いつも自分の世界に夢中で、まわりが見えておらず、「人目」がわからない。服が汚れていてもかまわず外に出て、外出の服すら準備できなかったと。
この自己没入傾向は、三歳頃にはすでに現れていたらしい。学業成績が話題に上る小学校の面談で、こうした私の発達の問題ばかりを、母は担任と話し合っていたという。
考えられないほど常識がなく、おかしな子どもで、小学校低学年で成長が止まっているように見えたという。
幼少期における自己イメージは、「天真爛漫」の一言に尽きる。
「外の世界に興味を示さなかった」と言われても、私はただ夢中で、目の前のソファを跳ぶこと、ブランコを漕ぐこと、崖や石壁をよじ登ること、秘密基地を探検することしか、頭になかった。
この性向は今でも変わらず、何かに夢中になると、まわりが見えなくなる。
【付記】
聴覚過敏手記を発表する前に、成育歴(略歴)を先に発表した方がよいという、ある人の助言に従って、投稿しています。
原稿用紙50枚ほどの本稿が、すでに完成していますが、ブログに投稿すると、トンデモない記事数になりそうです。
しばらくの間、一気にまとめて、公開していく予定です。