〈自閉〉と〈社会〉のはざまで(13) 高校時代1
◆うわの空の高校生活
変わり者が多く、個性が尊重される美術系の高校だったせいか、〝浮く〟 ことはなかった。
高校生活もやはり、「うわの空」だった。
美術や漫画つながりの友達はいたが、趣味は合っても、ほんとうの親密さや、心のつながりは、感じなかった。
鬱々とした内面とは裏腹に、ギャグ漫画が好きで、友達とゲラゲラ笑い合ったが、心はそこになかった。相手を友達だと認識していなかった。
先生の押しつけがましい「説教」を嫌った。中学時代もそうだったが。
「常識」すなわちコモンセンスのない私は、「いかにももっともらしい」それを押しつけられることに、我慢ならなかった。
「常識」は、みんながものを考えずに受け入れる、一つの権力だ。胡散臭い。教え諭すようなことは、いちいち言うまでもないではないか。自分ですでにやっているのだから。
目立った問題行動もなく、外面的には比較的、安定していた。
そんな高校一年の冬、人生最大の〈危機(クライシス)〉が訪れた。