〈自閉〉と〈社会〉のはざまで(9) 中学時代3 〈世界〉
ある夕方、空いた電車に乗っていた。車窓の外で霧雨が降っている。夕靄が縦座席を染める。
突然、私の脳裏に見たこともない映像が鮮やかに出現した。薔薇の蔓が絡まり合った巨大な門が、白く霞む濃霧に浮かんでいる――。
白昼夢。
それは、心の宇宙に膨張する神、離人症的内面世界、自分の世界でもあった。
〈世界〉、と名づけた。
ある夕方、空いた電車に乗っていた。車窓の外で霧雨が降っている。夕靄が縦座席を染める。
突然、私の脳裏に見たこともない映像が鮮やかに出現した。薔薇の蔓が絡まり合った巨大な門が、白く霞む濃霧に浮かんでいる――。
白昼夢。
それは、心の宇宙に膨張する神、離人症的内面世界、自分の世界でもあった。
〈世界〉、と名づけた。