マイノリティ・センス

自閉スペクトラム症の個人的な表現・分析(聴覚過敏多め)

スイレン

「アスペ」「自閉」「ハッタツ」……略語の負の効用

時々抵抗を感じます。

上司に「アスペ」と呼ばれたとき。
ネット上で「アスペル」という略称を目にしたとき。
 
なぜ抵抗を感じるのか。
それは、この言葉を口にする相手が 、「アスペルガー症候群とこの特徴を持っている当人をよく知りもしないで、“アスペルガーってこういうもんでしょ、こんなカンジでしょ” という社会的に捏造された根拠のないイメージで当事者を安易にさばき、決めつけている感じがするから」です。
 
「アスペ」のみならず「自閉」「ハッタツ」「統失」などの略語には、「空気・イメージ製造機」の側面があると思います。
「○○ってこんなカンジ」という空気やイメージが前面に出て、用語の示す正確な意味や事実から遠ざかってしまうと思います。
イメージ主体の認識では、対象を把握する際に、主観フィルターがかかりやすくなるでしょうし、製造された略語は略語で、流行語と同じく、世間で “ひとりあるき” をはじめるでしょう。
“ひとりあるき” をはじめると、略語におけるイメージと事実の乖離は大きくなるでしょう。
 
大事なのは、用語の原点に戻って、意味を確認しなおすことだと思います。
とはいえ、私も、めんどうくさいから、略称を使うことはあります。
アスペルガー症候群と何回も書くのはメンドーなので、Asperger syndromeという意味をこめて、ASと表記したりします。
いつの間にか、イメージ主体の用語を使ってしまわないとも限りませんが、こと人間の尊厳にかかわる略語を使う際は、できるだけ、気をつけたいと思っています。