過敏な人に! 『「敏感」にもほどがある』を読んで
『「敏感」にもほどがある』を本屋で立ち読みして、バカウケしたので、即買いしました。
HSP(highly sensitive person 敏感すぎる人)の日常について、四コマ漫画を交えて書かれた本です。
漫画だけでもめちゃくちゃ笑えるのですが、自己分析した文章が素晴らしい。
引用しながら思ったことを書きます。
これは自分!?
漫画の内容は、
- 人といるだけで疲れてしまう
- 他人の体調や感情が気になる
- 先のことをクヨクヨ考える
- 肌触りが気になる
- カゲが薄い
- 感動しやすい
- 注文するのが苦手
- 人が怒られているのを見るのがつらい
- 模倣が得意
- 頼まれやすい
- 緊張を引きずってしまう
- 現実的じゃない
- 意識が拡大してしまう
- 神様気分
- スキンシップが苦手
- 怒るとひかれる
- DVに遭いやすい
- 知りたくもない秘密を聞かされる
- 言葉がずっと心にひっかかる
- ぐさっとくることを言ってしまう
- 相手の性格を鏡のように反射する
- 裏道愛好家
- バンパイアにおそわれやすい
- 居場所が見つからない
- 会社勤めがつらい
- スピリチュアルにはまりやすい
- フリーランスをめざす
- 朝が来るのが怖い
- 仲間を見つける
- 人との距離のつかみ方
- 付きまとわれないために
- バンパイアの被害に遭わないために
- 自分の感受性を自覚する
- なぜ社会の中で生きづらいのか?
- HSPは本来パワフルでクリエイティブ
- HSPが人類を救う
こ、これは……!
まるで自分のようだ……。
90%以上当てはまっているかも?
私に似ている人がいる! と安心しました。
著者・高橋敦さんのブログも訪問して、ハマりました。
だいたい全部読みました。
気に入ったので、リンクを張らせていただきます。
こんな人が存在するなんて、心強い限りです。
発達障害者とHSPの違い
アスペルガー症候群は五感が鋭いけど、HSPは人に対する感受性が強いそうです。
自他の境界が薄く、他人が気になってしまう。
著者は他人にエンパシー(感情移入)しすぎて、生きづらさを抱えています。
近いものがあります。
……ってこれは、ドナ・ウィリアムズ『自閉症という体験』の内容そのものじゃないか!
〈他者のみ/自分なし〉の世界。
私は『自閉症という体験』と聴覚過敏によって、エンパシー力が上がりました。
その結果、著者の感覚により近い感覚がわかるようになりました。
聴覚過敏に応用できる?
自分を中心として注意の範囲を狭めていき、最終的に自分自身に注意を集めていきます。舞台の上で自分自身がスポットライトを浴びている感じです。
これは「俳優修業」スタニスラフスキイ著(未来社)という本にある、「注意の輪」という訓練法です。俳優がステージでスポットライトを浴びているように注意の光を自分自身に集めるのです。
(中略)このエクササイズをやっていると、敏感な人ならばピリピリというかグワングワンというか、頭が混乱するほどの刺激を感じるはずです。マイクとスピーカーを近づけてハウリングしているような感じです。
このいたたまれないピリピリ感こそHSPが他人に向けている発信している「感受性」です。
(高橋敦『敏感にもほどがある』、きこ書房、155頁)
す、すごい……!
常にエネルギーを放出し、感じているのですね。
よくわかります。ビビッとくる表現です。
「自分の感受性を自覚する」ということだけです。感受性とどう折り合いをつけるかは自分の感受性と相談するしかないと思うのです。
(中略)敏感すぎる感受性は、私自身です。やっかい者ではなく、自分の中にいる愛すべき子どものように考えるべきです。そうすれば、感受性も応えてくれます。
(中略)大切なのは、自分の感受性が暴走しているということに気づくことです。自分の中の子どもが泣き叫んでいると思ってください。そしてあやしてあげましょう。自分の感受性が今、どんな状態にあるのか、それに意識を向けるのです。あなたの感受性はあなたに気付かれるのを待っています。
(中略)HSPはじっとしていれば自分のエネルギーをますます感受性に注ぎ込んでしまいます。ですから行動にエネルギーを使うことで感受性に費やすエネルギーを減らすという方法もあると思います。
(同書、156~158頁)
聴覚過敏に応用できそうです。
私も常にピリピリが身体中に走っています。
電磁場みたいなものです。
そしてまわりの世界のピリピリを、勝手に感受してしまいます。
この刺激が暴走しないように、アンテナの方向を変えると。
それはちょうど、同じ媒体中におかれた二つの物質が、共振を起こして響き合っているようなイメージ
この共振というか、磁気というか、霊感というか、ビリビリというか、テレパシーというか、電流のようなエネルギーを、自分の内部に向けて感じればよいわけですね。
感受性が高い人の役目はなんだろう?
HSPの高い感受性は、それを持つ当人が生きやすくなるために与えられたものではありません。種の保存という、個人的には関係ない理由で勝手に組み込まれた回路みたいなものです。
(中略)生態系がサイコロを振って「当ったりぃ! キミ、そういう訳だからよろしくねっ!」って2割の生体に高い感受性を組み込んだのです。「贈り物」というより「役目」でしょうか。役目ですから、基本的にはそれを果たすことが前提となっているようです。
(中略)「いろんなこと見張って、おかしな兆しを見つけてね」って言ってるだけです。いろいろ制約はありますが、なるべく苦労を避け、個人的に活かせるものは活かしてHSPらしく生きていけたらと思います。
(『敏感にもほどがある』、162頁)
感覚過敏の人の役割はなんだろう?
考えさせられます。
よく言われるように、「炭鉱のカナリア」が思い当たります。
社会の危機を真っ先に察知する。
私も予感というか、予知覚がテレパシーのように張っていて、「これはヤバイ!」という感じに真っ先に反応します。
やっぱり理解されないのか…
話したいことがあっても、感受性の違いから人にはほとんど理解してもらえません。気遣いさえも伝わらないことが多いです。
組織の管理や干渉はHSPの苦手とするところです。大勢の人を1つの部屋に集め刺激過多になっている職場、上司や組織の意向を気にして自己裁量の少ない管理体制、同僚と反目しあうような競争、こういった環境では、そこにいるだけでHSPは消耗してしまいます。
普通の人はそういった環境に適応していきます。社会人になることは、自分の感覚や考え方を社会に合わせて変えていくことなのかもしれません。しかしHSPにとって、それは死んでゾンビになれと言われているようなもので、いわゆる世間には染まれないHSPがたくさんいると思います。
(同書、165頁)
自分の感受性を押し殺されることは、ありのままの生きた自分が殺されること。
そして、特異な感受性の持ち主は、なかなか理解されない。
激しく共感します。
まとめ 過敏に悩む人に
自閉症圏の人には、身に覚えのある感覚満載でしょう。
特に感覚過敏の人には、教訓が多く含まれています。
ドナ・ウィリアムズの『自閉症という体験』を読んだ人なら、「このことか!」とピンと来ます。
ただ「人の気持ちがわからない」ことに悩む自閉症圏の人は、「自分とは少し違う」と違和感を覚えるかも。
著者は、人の気持ちにエンパシー(感情移入)して、影響を受けすぎるのです。
漫画は文句なしで笑えます。
過敏に悩む人におすすめできる一冊です。