マイノリティ・センス

自閉スペクトラム症の個人的な表現・分析(聴覚過敏多め)

スイレン

〈定位〉から考える聴覚過敏1 はじめに

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 聴覚過敏は、たいていの人が意識せずにやり過ごせる音を、ときには我慢ならない苦痛をともなう過剰な刺激として受けとる体験です。

 

 聴覚過敏が発生し、その症状が変化するしくみは複雑で、全容を把握するのはたやすくありません。特定できる一つの原因がコウいうふうに確実に存在していて、だからコウいう結果に結びついていくとはっきり捉えるのはむずかしく、目に見える中枢神経系や感覚器官から目に見えない心理現象や社会関係に至るまで、さまざまな方面から聴覚過敏をかく乱する複雑な法則がからみあって、恒常性を保とうとする心身の均衡の縫い目が、もつれこんがらがって出現するように思われます。聴覚過敏のトリガーは、引き起こす人の内部にも外部にもあり、その接点から聴覚を介して生じています。

 

 自閉症スペクトラムの人の多くが感覚過敏を抱えていると言われていますが、原因はよくわかっていないようです。意識が特定の感覚にフォーカスするか無視するかという特性は、外界にひらく認識の門である感覚器官から認識に通じる通路に、その人独自の形態が備わっていることを想起させます。また、認識そのものに奇妙な世界の吸引法則があることを想像させられます。