マイノリティ・センス

自閉スペクトラム症の個人的な表現・分析(聴覚過敏多め)

スイレン

〈定位〉から考える聴覚過敏9 こだわる固体の固着とこだわらない気体の流動

 なぜこれほど刺激に反応しなければならないのでしょうか。

 

 感覚過敏のイメージをはっきりさせるために、逆に感覚の鈍い人を描出してみます。自分の生命の流れがほかの生命の流れと同期(シンクロ)する振幅が広い。変化についていける。流動している。臨機応変に対応できる。こだわりがない。固着しない。多勢に合わせることができる。ざっとこんなイメージが浮かびます。

 

 感覚過敏の人は、特定の刺激に愛着することもありますが、違和感を覚えて排除しようとする強烈な心のしくみをもっています。刺激を同化させるか、異化させるかの核心をもっているのです。感覚受容の布陣の本丸の中心に、自分の座布団があって、そこにドッカリ座っているようです。感覚過敏は、この座布団の振動です。

 

 一方鈍感な人は、座布団から腰を浮かせて、いつでも関係の流動に反応(レシーブ)する姿勢をとっています。定常位置の転覆を驚愕しなくても対応できるのです。もっとハイレベルな姿勢になると、すでに座布団も消えてしまって、空気のような流動そのものになっている人もいます。流動度が高まると、振動する固体(こだわりの座布団)がなくなるから、鈍感でいられるのだと思います(こだわりは少ないほうが生きやすいので、鈍感さを少しおすそわけしてもらいたいです)

 

 

 固体か気体か。固着か流動か。

 こだわる固体とその固着が感覚過敏の人すなわち自閉症スペクトラムの人であり、こだわらない気体とその流動が鈍感な人すなわち自閉症スペクトラムから遠い人であるというイメージを思い描きます。

 こだわりと感覚過敏は、こういうところでつながっていると思います。たくさんの刺激に過敏に反応しなければならないのは、こだわりの座布団が振動するからです。