バンパイア=発揚性性格者 vs HSP=敏感性性格者
繊細で傷つきやすい人が自分の心を守るための本
加藤諦三著『「自分の心」をしっかり守る方法』を読みました。
これは、繊細で傷つきやすい人が、自分の心を守る方法について書かれた本です。
何気なく手にとって読みましたが、自分の生きづらい性格をこれでもかと解き明かしていて、大変参考になりました。
読んだ後、心が明るくなりました。
敏感性性格者
敏感性性格者とは、小心で、繊細で、傷つきやすい内面を持ちながら、野心は人一倍ある人間です。
くよくよ悩むばかりで、なかなか行動に移せず、弱気なところがあります。
敏感性性格の人は「繊細な傷つきやすい野心家」「過剰な自意識のある野心家」である。この繊細で傷つきやすい名誉心が「喉に刺さった魚のトゲ」である。(『「自分の心」をしっかり守る方法』、三笠書房、83頁)
敏感性性格の人は刺激を受けやすいし、感受性が強い。つまり印象能力が高い。そしてある体験が意識の中に入ると、たびたびいうように、なかなか発散されない。つまり保持能力も高い。(同書135頁)
自分に当てはまるなぁと。
繊細で感じやすく、常に外界の環境や人から「圧されて」緊張しているのですが、内に秘めた怒りや悔しさは大きい。
絵にするとこんな感じでしょうか。
野心とは、詩人になる望みに敗れて虎になった中島敦「山月記」の主人公・李徴(りちょう)が抱いている、「臆病な自尊心」のことだと思います。
臆病なのに、ここは負けないぞクソー!と悔しがる、突っ張ったプライドは持っている。
発揚性性格者
こうした敏感性性格者にとって最大の脅威となるのが、発揚性性格者です。
発揚性性格者とは、強力な行動力と感情を持ち、相手に自分の感情を押しつける利己主義者のことです。
ひかえめな人間にとってかなわないのが、情緒的に未成熟な強力型の人間である。強力型なのであるが、利己主義で自分本位な人間というのは、ひかえめな人間にとってはたまらない。このタイプは相手の立場を考えないで、自分を一方的に主張する。その主張の仕方が強力なのである。
ひかえめな人間にとってさらに耐えがたいのは、クレッチマーのいう発揚性性格者である。(同書97頁)
敏感性性格者が無力性に強力性のトゲが刺さっているとすれば、発揚性性格者は強力性に無力性のトゲが刺さっているとクレッチマーはいう。(同書97頁)
トゲトゲしたアイデンティティの見かけの外殻の中に、凹んだ自我がある。
このアイデンティティの型は、敏感性性格者のそれと真逆です。
刺激されやすくてエネルギッシュなのであるから、すぐに怒って相手を犠牲にすることなどなんでもない。
要するに、利己的でずるくてたくましいのである。気の弱い人間やひかえめな人間を踏み台にして自分の利益を求めていき、しかもそういうように他人を踏み台にしたということでは決して傷つかない。
(中略)発揚性性格的な者というのは、相手を利用できるかぎりにおいてはよく相手とつきあう。自分は敏感性性格だと思う人は、できればこの発揚型の人とはコミットしていかないことである。(同書98~99頁)
発揚型の人は鈍感で、陰湿で、繊細な人間を踏み倒すから、たまりません。
過去、職場で私をいじめたのは、ほとんどこのタイプです。
私にとっては、できるだけ避けたい苦手な人間です。
バンパイア=発揚性性格者 と HSP=敏感性性格者
高橋敦さんは『「敏感」にもほどがある』で、全く同じことを語っています。
バンパイアはHSPの感受性をするどく嗅ぎつけます。そしてエネルギーを吸い取るために、HSPの自尊心を傷つけたり、わざと混乱させる物言いをします。バンパイアには感受性を向けないこと、そしてエネルギーを奪われないことが大事。
(高橋敦『「敏感」にもほどがある』、きこ書房、149頁)
HSPは敏感性性格者、バンパイアは発揚性性格者におおかた当てはまると思います。
バンパイアのアイデンティティの、見かけの外殻のトゲが、HSPのアイデンティティの外殻を浸食してエネルギーを吸い取る。
こうして敏感性性格者は、発揚性性格者の餌食となります。
それにしても、高橋さんのバンパイア対策(同書150頁)
- バンパイアに感受性を向けないようにする
- 自分のエネルギーを渡さないようにする
- 相手の攻撃に対してはむしろエネルギーを吸い取る
のうち、1がとりわけ難しいです。3も高度。
バンパイアの攻撃を阻むために、感受性をさらに働かせ、相手を感知し、探索してしまうのです。
相手を知り、理解するために、感受性を協働して思考してしまう……。
いったいどうしたら、このピリピリした強烈な感受性を抑えることができるのか……。
ちなみに、加藤諦三が説く対処法の要諦はこうです。
自分を不当に傷つけた者にきちんと抗議せよ。
憎しみを消し、怒りを勇気に変えよ。