マイノリティ・センス

自閉スペクトラム症の個人的な表現・分析(聴覚過敏多め)

スイレン

聴覚過敏者は逃げ場所と居場所がほしい(4) 偏見

騒音=ワイワイ・ガヤガヤ・ザワザワ が、身体を叩き、打ち、さわり、響く。

内臓をなで回される。痛い。気持ち悪い。吐き気がする。
広がる嫌悪感、まとわりつく不快感、迫りくる圧迫感。
そして、恐怖感。
 
殊に、高い声は、尋常でなく響く。
"地獄"と形容するのも、あながち大げさではない。
なぜなら、逃げ場所がないのだから。
 
2回ほど、軽いかんしゃくが出た。
その表現だったのだろう、私は、いつも私語がうるさかった人に言ってしまった。
仲の良い相手だったから、冗談めかして、「うるさい」と。
相手の様子がおかしくなったので、私は、「言い過ぎてしまった。ただ私は自閉症のため聞こえ方が違う。 許してほしい」と謝った。
しかし、相手は謝罪を受け入れなかった。
自分は全く悪くないと思っているらしかった。
 
私は、こう思っていた。
態度を変えてもらわなくてもいい。
ただ、せめて・・・、毎日繰り返される、あなたに与えられるこの苦しさをわかってほしい、・・・そう願っていた。
 
そして私は、人づてに聞いた。
その人が、自分はまったく人を苦しめている自覚がないばかりか、「じゃあ耳鼻科にでも行けば?」と言っていたことを。
 
久々に、頑固な世間の偏見に遭遇し、傷つく自分がいた。
 
なぜなら私は、毎日吐き気や圧迫感を我慢していたからだ。
毎日試行錯誤し、闘い、嵐の日々を送っていたからだ。
その人(だけではないが)に与えられる苦しみを、日々我慢していたからだ。
 
なぜなら私は、昔すでに、耳鼻科に行っていたからだ。
言葉の理解が悪かったので、耳が悪いのではないかと疑い、耳鼻科で診てもらったのだった。
しかし、なんの異常もないからこそ、原因がわからず、あちこちのドクターを彷徨った。
苦難の末に、ようやく診断されたのが、「自閉症スペクトラム」。
そのことを、何度も説明したのに、その人は、私の話など聞いていなかった。
 
「聴覚過敏は、耳の問題ではない。自閉症スペクトラムの特徴だ。一般の人とは聞こえ方が違う。」
何度説明しようが、理解してもらえない。
耳の悪いオマエが悪い! という認識に、責められる。