感情をみつめて(2) 「閉」の縛り
「感情をみつめて(1)」の状態が「開」とするなら、逆に、「閉」の場合もあります。
感情が「ない」というより、「流れない」という感じです。
ストレスが過剰であったり、まわりの人に合わせすぎたときによくおこります。
感情が湧いてこない、固まる、何も感じないなど、自分の感覚や感情が、麻痺していきます。
この感覚は離人症的で、閉じこめられた感じがします。
あまりひどいと、身体が固まって、文字通り身動きがとれなくなります。
ざわめく声、行きかう笑顔、響く足音
連なる通路、そびえる窓、注ぐ照明
空気のざわめき、広がるけしき
見えるのに、見えないのはなぜ?
聞こえるのに、聞こえないのはなぜ?
目の前に映る、幻のモノたち
輪郭もなく、境界線もなく
バラバラに溶けあい、混じりあう
影のない空中楼閣、ふわふわの蜃気楼
彼方にたゆたい、ゆらゆら揺れる
見えるのに、見えない
聞こえるのに、聞こえない
まとわりつく、不協和音のノイズ
声を失い硬直する、錆びついた機械
けしきは遠く、遠のいて
何も見えない、聞こえない
感情は、あると思います。
ただ排泄機能が壊れて、動かないだけです。
眠っているのに目覚めている、目覚めているのに眠っている、金縛りのように。
流れないだけで、ちゃんと「ある」ので、金縛りにあっているあいだ、「感情のダム湖」にたまっていっています。
ただそのダム湖は、堅く頑丈に感情を閉じこめており、水門がうまく機能していません。
わずかなコンクリートの割れ目から、ちょろちょろと、水が湧きだします。
まったく流れないときは、静かな、爆発するような不気味な予感が、全身にまとわりつきます。
これが、感情の「閉」の状態です。